言之葉明日香:第1章【トレジャー・ハント】
ウィーザードボード。
直訳すると魔法使いの板。
基本的に空中を飛ぶために使用されるものだが、みなそこまで割れて切り立った海がもとに戻る波に乗るのは、魔法使いと言えど珍しかろう。
その先は飛沫で白く見え、うねる青は濃淡を持って崩れていく。飲み込まれれば、そのまま海に食われてしまう。
そんな危険な場面をふりきり、大波の終着点まで滑り込んだウィーザードボードの持ち主は、見守る者に当然の安堵だと思わせるような人好きのする口角のあげかたをした。
手に巻いてある革製のヒモにつながる、素朴にすら見える魔法石のネックレス。
それを示して、まだ若い賢者は言った。
「死ぬかと思った~」
私の名前?
レアン。
彼の、幼馴染み。
ー第1章ー
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