白魔女さつきの宴のレシピ

ファンタジックなものをおもに投稿したいと思っています。西洋風か和風のファンタジーどちらにしようか迷ったのですが、もしかしたら両方を投稿します。

うちの黒執事

うちの執事は黒が好き。


お嬢様こと、私はピンクが好き。


「いつあなたと結婚できるの?」

「どうなんでしょうかね?」

「また今日もからかってるの?」

「はい、お嬢様。そうであります」


そう言って嬉しそうにするまだ若い、遠縁にあたる執事は微笑する。


それがまるで、日課だった。




とある日。


黒とピンクの薔薇の花束を彼に贈った。


「昨日、パパからあなたとの結婚のお許しが出たの・・・祝福してくれる、って。なのにパパもあなたも、先に旅立ってしまったわ。もう、わたしをからかってくれるひとは・・・いないかもしれないのね」


棺の中の執事に、私はキスをする。


「キスって、もっと熱っぽいんだと思ってた」


涙をぬぐう。


「案外と平気よ。家のために、しっかりしなきゃね?」


《はい、お嬢様。そうであります》



どうやら空耳が聴こえたらしい。


次に執事の顔を見た時、少しほほえんでいるような気がした。





ーおわりー


[ 追記 ]


お嬢様の名前→花千代:はなちよ

執事の名前→竜道:りゅうどう