白魔女さつきの宴のレシピ

ファンタジックなものをおもに投稿したいと思っています。西洋風か和風のファンタジーどちらにしようか迷ったのですが、もしかしたら両方を投稿します。

華鬼

「人魚が見たいわ」


若いが、もう長くはないと告知された病床の可憐な女が言った。


兄やである美しい男が、探してきますと言って、芍薬の花を持ってきた。


「あら、お花?」

「これは人魚の鱗でできた花」

「まぁ、どうゆうこと?」


「私はムゲンという力を使って、自然とはがれた鱗を人魚からわけてもらい、それを花にして見舞いに来た華鬼です。兄やの姿を借りています」


「ありがとう、華鬼さん」


「鱗花だけですいません」


「兄や、気持ちが嬉しいわ」


少女は涙を流し、おもむろにまぶたを閉じて、間もなく息を引き取った。


様子を視ていた情緒や人情がない彼女のきょうだいが、「鬼が出た」と叫んだ。


周りの者は、なにがどうなっているんだ、と不審がるばかり。


「ムゲンという力を使いました」

「それはなんだ?」

「ゆめまぼろし、と書いて、ムゲン」


兄やは奉公先から出されたが、のちに物書きとして出世し、その称号を「華鬼」とたまわった。




ーおわりー




[ 名前紹介 ]



称号華鬼→禮:らい

若い女→由李祢:ゆりね