光の末裔
黄緑色の液体で満たされたガラスの
円柱の中に、彼女はいた。
気泡の水玉に光が宿るのを見つけ、
内心綺麗だと思ってしまった。
僕の存在に気づいたのか、
眠っているように見えた彼女が
うっすらと目を開け、
僕を見つけた。
機械を通して彼女の声が聞こえる。
「《ばんちゃん・・・?やっぱりだ》」
彼女を探しに出てだいぶがたつが、
おじさんとも呼べる
年齢になった俺に比べ、
彼女は美しい少女のままだ。
「《ばんちゃん・・・もう、地球の最後がきちゃうけど、終わりにしよう?》」
「そうだね」
「わたしね、ばんちゃんの夢の中に入って、ここと番号教えたんだ」
「やっぱりか」
「もう、終わりたい」
「分かったよ」
俺はキーボードに夢で見た
暗証番号を打ち込んだ。
器械音が鳴ってクリア。
俺は彼女の生命維持装置の
電源をきるボタンを、
少しためらったあと、
押した。
ー☆ー
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