白魔女さつきの宴のレシピ

ファンタジックなものをおもに投稿したいと思っています。西洋風か和風のファンタジーどちらにしようか迷ったのですが、もしかしたら両方を投稿します。

宇宙列車の窓辺

長い銀髪、

黒いスーツを着た美しい男。


考え事をしているような、

それとも

少しふてくされているような印象で

片肘をつき、

列車の席にひとり座っていた。


そこに、小柄な人物が話しかける。


「シラン様ですか?」


「ああ、どうぞおかけ下さい」


向かいに座った黒髪の人物が言う。


「カラスと申します」


「シラン・ルイズ」


「『蝶と虎』、楽しみですね」


「ええ。虎はおとなしいこだし、蝶が寄ってくる人体に無害なスプレーは興味深い」


「シラン様は、獣医さんなんですよね?」


「ええ、ケモノビトも担当ですよ」


「まるでモデルみたいに美しいと聞いたので、時間をとってもらいました」


「急にはダメですよ」


「そうなのかぁ。俺、美しいひと大好きなんです」


シランは微笑した。


「素直なところは君の長所かもしれないね、カラスちゃん」


美少女カラスはほほをふくらませた。


「子どもあつかいしてるんですね。俺の写真集、全部見てくれたって聞いてたのに」


「仕事のいっかんだ」


「使ってくれてるんだと思ったのに」


シランは足を組んで、窓の外を見た。


「星が綺麗だね」


「宇宙列車は、はじめてですか?」


「ああ、そうかもしれない」


「もうさがったほうがいいですか?」


「別に・・・」


「ん?」


「君は不思議と、不愉快じゃないから」


「じゃあもう少し、ご一緒してもいいですか?」


「ああ・・・いいよ」


「実は、俺、こっち方面の宇宙列車はじめてなんです。窓を開けたらどうなるんだろう?」


さすがにいつも不機嫌に見えるシランが、小さく笑い声をたてた。


「すっぴんの方が、君可愛いかもね」





ー☆ー