言之葉明日香:第2章【魔法使いにお弁当】
魔法使いの兄がはなれに住んでから、妹である私は時々お弁当を届けに行く。
うららかな気候な里であるが、その場所は別段太陽の光のあたりかたが優しい気がする場所だ。
兄はほうっておくと、家の軒先にはえるキノコを虫メガネで観察して「食べれるかもしれない」と言い出すので、私がお弁当を届けることになる。
北陸ヤシの蜜で育った南国龍鳥のゆで卵と、パプとメンヤと鶏肉の炒め物、西洋風春巻き、食べれるキノコのバター醤油炒め、シュアザローナの花の和え物、くきのおひたしにはおかかをかけてあって、葉の添え物は風邪予防、トウガンのくたくた煮スープは魔法瓶に入れてあるからまだ温かいはずだ。
今回のお弁当の内容。
はなれに着くころ蝶々が数匹飛んでいた。多分、モンシロチョウだろう。ラブリーだなぁ、と思いつつ、風にそよいだ甘い水色の髪の毛をおさえた。
「おにーやん、入るよ~」
木製の玄関の扉が開いていたので、声をかけて室内に入る。階段をのぼる。
「おー、妹よー、よく、きた~」
薬になるかもしれないコケ植物がはえている屋根の上で、兄はくつろいでいるように見えた。
「死ぬかと思った~」
「なに?」
「口にくわえた草の毒気が、解けてきた~」
「アホみたい」
どうやら兄はくつろいでいるんじゃなく、具合が悪くてよこたわっていたようだ。
私の名前?
キーリー。
新米魔法使いの、妹。
ー第2章ー
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