白魔女さつきの宴のレシピ

ファンタジックなものをおもに投稿したいと思っています。西洋風か和風のファンタジーどちらにしようか迷ったのですが、もしかしたら両方を投稿します。

第6話 闇桜と

縁日、当日。



にぎわいの雰囲気に、

並ぶちょうちんのとろり灯。


女は狛犬にもたれる。


「こちらか」


「きゃっ」


女が驚いて振り向くと、

渋茶色の着流しに山高帽を

かぶっている男。


一見『達人』に見えるが、

金魚すくいの紙は一度でやぶれた。


女は一匹の、赤い金魚を得た。


水の張ったビニール袋に

打ち上がった花火の色が映る。


歓声も上がり、

ひとの流れも変わる。


男は女の手をとり、

近くの露店で線香花火を買った。


ひとけの薄れた本殿の階段に

腰かける。


煙草を吸っているらしく、

マッチを取り出す。


「なつかしいわ」


「マッチ?線香花火?」


「ええ。小さい頃・・・

 これってむずかしいんですよね」



男は何も答えず、

線香花火を女に渡した。






ー第6話ー