白魔女さつきの宴のレシピ

ファンタジックなものをおもに投稿したいと思っています。西洋風か和風のファンタジーどちらにしようか迷ったのですが、もしかしたら両方を投稿します。

第7話:最終回 闇桜と

「そう言えば一人娘・・・」


 きょとんとしていた女は

 少し目を見開くと、

 複雑そうに

 顔を伏せた。


「そうです・・・」


「俺は呉服屋の後継ぎです」


「私も、実は家の後継ぎなのです」


 ドン、と一番最後の

 大きな花火が上がった音の余韻。


 ふたりは線香花火の

 橙色の火花を見つめている。


「この花火が終わったら・・・」


 女の花火が終わる。


「もう、会うのをやめましょう」


 男の線香花火の、

 ぱちぱちていう音が、

 静寂の喧騒の中、

 よく聞こえる。


「そうですね・・・」


 少し、さびしげな声だった。


 半分以上が灰になった

 男の線香花火が、


 ふと、


 小さな光を終えた。






ー終わりー