第12話 にぶんのいち
俺は花束から薔薇の花を一輪崩し摘んだ。
かまわずそれをパティに差し出し、彼女の手のひらに乗せる。
俺は今日、彼女にプロポーズすることを決めていた。
右手にしのばせてあった指輪を、薔薇の花びらで隠しておいた。
手の中の花びらが風に舞い、彼女は指輪に気づいた。
「ロブっ」
彼女は自分から俺にハグをして、同意でキスをした。
ぽん、と精霊カーネリーが現れた。
「彼ね、ロブ。死ぬ前に仕掛けをしたの」
何のことなのかと思った。
「じゃーねー。自分で決めなさいよね~」
そしてカーネリーは煙のように姿を消した。
金色の粉をしばらく残して。
首に手を回した状態のパティが言った。
「あの時の言葉、嬉しかったわ」
ー第12話ー
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