白魔女さつきの宴のレシピ

ファンタジックなものをおもに投稿したいと思っています。西洋風か和風のファンタジーどちらにしようか迷ったのですが、もしかしたら両方を投稿します。

勇者の物語【難攻不落の通り道】

魔王を倒すために必要なアイテムがそこにある。


『難攻不落の通り道』と呼ばれる場所の、その先に。


行きがけ、通りすがりの買い物帰りらしき主婦の買い物袋から、オレンジとグレープフルーツがいくつか転がり、勇者はその優しさから、拾うのを手伝った。


主婦いわく、難攻不落の通り道を通れるのは、通り道の番人だけ。


勇者はアイテムのある城に、主婦からのお礼のエプロンをつけて進入し、ねずみ退治係の新入りだと言って、難攻不落の通り道の手前で、エプロンのヒモを縛り直した。


番人が「なんの用だ」と聞く。


勇者は「アイテムを愛でたいので、取ってこい、と言われた家臣のさらにつかいです」と言い放つ。


番人は「なるほど、そうゆうことか」と言うと、大きなギロチン的斧が紐で吊ってあってスライドしている列をかいくぐり、アイテムを持ってきてくれた。


勇者「これが勇者のつるぎ?」


番人「それがなんだ?」


勇者「この場所は、『不落難攻の通り道』、って名前にしたら言いかもしれませんね」


番人「意味が分からない」


勇者「あ。つるぎに選ばれた」


遠ざかっていくねずみ退治係のふりをした勇者がぼやいたのが風に乗って聞こえたが、番人は小首をかしげただけだった。





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