白魔女さつきの宴のレシピ

ファンタジックなものをおもに投稿したいと思っています。西洋風か和風のファンタジーどちらにしようか迷ったのですが、もしかしたら両方を投稿します。

木漏れ日の君

歌うようなお天気の日で、

揺れる椅子に座る美しいひとは

赤子をその手に抱いていた。


踊るような木漏れ日と共に見つけた

そのひとに、

話しかけてみる。


「可愛い赤ちゃんね」


「とっても可愛い」


「君、何歳?」


「十五歳だよ」


「なのに子供いるの?」


へ?と、美しいその顔が崩れる。


「このこは、親戚の子。それから、俺は君のいいなずけ、です」



やがて産んだ彼の子供は

彼に似て美しく、

そして彼は揺れる椅子に座り、

赤子をあやしながら、


ここは俺のお気に入りの場所なんだよ、

と、穏やかに話しかけている。



ーー

ーーーーー・・・



やがて時がたったらしく、

なんのわけが

わからなくなったのかしら、と、


敷地の庭に出てみると、

そこに死んだはずの彼を見た。


赤子をその胸に抱きしめながら、

揺れる椅子に座る、

彼らしきひと。


その幻みたいな彼は

赤子をあやすのが

不慣れなようすだった。


話しかけようかと近づくと、

向こうがこちらにきづいた。



「おばぁ様、どうされたんです?」



そういうことなのか、と、安心すると、思わず笑顔になった。


また笑ってごまかしてしまったのかしら、と、ないしん思った。



この愛しく美しい情景のために、


今まであった

いろんなことを、


知らんぷりしてもいいやと、


なぜか


思った。





ー☆ー