魔法の国の妖精の里【虹色の花】
「なんだって!?虹色の花?」
妖精図書館の中、空想屋係フセンが驚いて椅子から立ち上がります。
「蝶の羽根のビタが見つけた、って」
「さっそくスケッチの用意だっ。知らせてくれてありがとうっ」
「いいって。今、食べれるかどうか食料調達係の調べ入って、多分ルーアンも現場に・・・ああ、もういない・・・」
「君は最近、小人から妖精になったこ?」
妖精図書館の『書蟲:しょむし』が、聞きますと、そうなんです、と新入りが言いましたので、書蟲は「よろしく」と言って、片手を出します。
新入りと書蟲は、ハイタッチをしました。
一方、川辺に向かったフセンが見たのは、虹色の菊の花でした。
そこに、恋人のルーアンと友人ビタがいます。
「フセン、すごいよっ、虹色の花!」
「先輩、来て、いる」
ビタとルーアンの側に、フセンが先輩と読んでいる妖精作家ビックリ・マザーがいます。
「先輩・・・先輩っ」
「あら坊や、聞き付けたんだね。こっちに来るといい。私の実験は、九割成功したに等しい」
ビックリ・マザーの実験とは、栄養に七色をつけたら、花は虹色になるのか、なんだそうです。
そしてもうそこに、虹色の花が咲いています。
フセンは夢中になって、スケッチをしました。
菊の花だと言うので、食料調達係たちが食べれるかどうか話し合いと吟味をしています。
「空想を、食べる」
ビックリ・マザーがたからかに言いました。
「目の保養のことです」
ビックリ・マザーの側近が喋って、周りから、喋った、と少なからず反響があります。
「ロマンだよ」
ビックリ・マザーがそう言うと、側近が、こちら予定表です、と周りに示します。
しばらくして、参加したい者たちが集まり、虹色の花たちは切り取られました。
それを水面に浮かべると、
流水に乗って
くるくると回転しながら
遠くに向かいます。
「綺麗だ」
「君も」
ルーアンはフセンの言葉に驚いて、そして側にいる彼の肩によりかかりました。
扇子で自分をあおいでいたビックリ・マザーが、感動に目頭をおさえます。
「虹色の花が咲いている・・・」
「ビックリ・マザー・・・すごいです。まさに、虹色の花が咲いています。あなたの側近になってよかった」
「ああ・・・夢は託される。愛は伝わる」
これって川の流れにそうんだったら、遠くの誰かが見つけて、感動したりするんじゃないの?とビタが言いました。
その場にいた者たちが、「ビーックリ、ビーックリ」とこぶしをふりあげ賛同します。
しばらく続いたその場に、ビックリ・マザーは言いました。
「日記に細かく書いておこう」
ー☆ー
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