白魔女さつきの宴のレシピ

ファンタジックなものをおもに投稿したいと思っています。西洋風か和風のファンタジーどちらにしようか迷ったのですが、もしかしたら両方を投稿します。

妖精がかけあわせた植物【蜜壺草】

「あった、あった、あったよ~っ」


魔法の森の中、葉の群集する場所に、その植物を見つけ、食料調達係の妖精が、他の妖精を呼んだ。


そっちかすぐ行く~、と、少し離れた場所から仲間の声がする。


声をかけて集まった食料調達係たちは、葉のかげに隠れた、『蜜壺草:みつつぼそう』を見つけて、ハイタッチをした。


蜜壺草とは、昔妖精がかけあわせたとされる、野生でしか育たない植物。


膜に蜜がたっぷりとたまっていて、食料調達係たちが、たっぷんたっぷんだ、と判断しました。


蜜壺草は膜にたっぷんたっぷん蜜がたまっていないと、収穫したらいけないという妖精の決まりがあるのです。


それから、ちゃんと感謝をしないと、その美味しい蜜は毒に変わりかねません。


蜜壺草に手を合わせて、

食料調達係たちは、

膜の袋口を押さえながら、

キュポンと引き抜きました。


嬉しさに笑いが出てくる者もいて、

膜はそのままキューっと伸ばして

袋口をクルリンギュッとしばって、

プルルンとなったら、あとは運びます。


妖精が、またお願いします、と、真面目に手を合わせると、蜜壺草は、プワーっと、膜を作りふくらませました。


どうやらまたいつか、蜜を取りに来てもいい、ということらしいです。


「これで、なに作るんだろう?」


おーい、バナナを発見食べ頃だ~っ、と食料調達係の声が遠くからします。


「ワァオっ」


隣にいた男の子の妖精が、すぐに行く~、と返事をかえします。


君は、女の子だからここで蜜壺袋持って、先に帰るといい、バナナはそれより重いから君の代わりに僕が担当するよ、と言って、急いで声の方に飛んで行きました。


そのうしろ姿を少し見送り、女の子の妖精は嬉しそうに声をあげます。


「バナナ蜜もけもけ、作れる~っ」


なぜか周りにいる妖精たちが、呆れてため息を吐き、かぶりをふります。


まだ恋愛にたっしない、とぼやいたあと、ほらもう先に帰るよ、と蜜壺袋担当たちは、妖精の里に向かって移動をはじめましたとさ。




ー☆ー