第1話 闇桜と
「やめてくださいっ」
そう声をあげたのは、
ひとりの若い女だった。
「いいじゃないかよぅ。
ケチケチすんなや」
にやついた酔っぱらいが、
その若い女の細い腕を掴んでいる。
「やれやれ。
道のおうらいで
何をやっているのやら・・・」
それを見つけたひとりの男が、
そのふたりに近づいて行った。
予想通り、もめた。
女が転びそうになったところに
男は気を取られ、
左の口元に酔っぱらいのこぶしが
一発、入った。
口のはしから血が出る。
思わずなめとると、
やはり、
さびに似た味がした。
ー第1話ー
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