第5話 闇桜と
男は会計を終えた紙袋を開け、
そこからハンケチを取り出した。
「よろしかったら、もらって下さい」
店の壁に
大きな花火の絵の
ポスターが貼ってあって、
近々の縁日を報せている。
「どうです?縁日」
「え・・・」
「ああ、いや。
むりじいするつもりはないんだが」
「いえ、行きますっ」
「ほう。
では、待ち合わせは会場の
狛犬の・・・右か左?」
「どちらから見て?」
男は笑った。
「な・ん・で・す?」
女は何故か恥ずかしさを感じ、
再び顔を赤くする。
「じゃあ、当日、狛犬の前で」
「なんで笑うんですかっ」
男は笑いながら、店を去った。
ー第5話ー
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