白魔女さつきの宴のレシピ

ファンタジックなものをおもに投稿したいと思っています。西洋風か和風のファンタジーどちらにしようか迷ったのですが、もしかしたら両方を投稿します。

アスカという朱い鳥

雨の日、

一羽の白い鳥がふと、

自分はなぜ白いのだろうと思いました。


空の色はこんなにも

日ごとさまを変えるのに、と。


そして雨は続き、

白い鳥は思い出します。


私は朝の空の色が、

一番好きだ、と。


雨は夜のうちに止み、

地面には朝の香りと

水たまりがあります。


水たまりに映った朝焼けを見て、

白い鳥は思います。


なんて素晴らしいことだろう、と。


この水を飲んだら、

きっと私の羽色は朝焼け色になる。


アスカというその鳥は、

朝焼け映す水たまりの水を飲みました。


するとどうでしょう、

羽色は綺麗な朱(あか)になりました。


その鳥の子孫はみな

羽色が朝焼け色。


いつしかそのはじまりにあやかって、

その種を「朱鳥:あすか」と

呼ぶようになりましたとさ。






ー☆ー

水の乙女

春頃、池には花がいくつも咲いている。


百合の花冠をした美しい女が裸体で池につかり、胸上が見える。


その両手で水をすくいあげ、わずか雫が水面にこぼれた。


女が両手を天に向かって広げると、水飛沫と共に、澄んだ水でできた魚が生まれ空に泳いでいく。


なるほど、空魚はこんな風に生まれるのか、と思った。


巫女として仕事を終えたその女は姫になり、やがて運命の相手のもとへ嫁いでいくのだろう。


天啓があった、と姫が言った。


姫が言った場所に、視察に行く。


どうやら姫の運命の相手は、マジシャンらしい。ゴシック調のスーツに身をつつみ、シルクハットの中から、白い鳩とウサギと蝶々を出した。


トランプカードを全部同じ柄に変え、土の入った鉢を示すと種をまき、胸ポケットから出した栓をした試験管の中の水をやると、あれよあれよと言う間に、種は芽吹いた。


マッチを擦って、ふっと息を吹きかけたその美男は、鳩やウサギと蝶々と共に、姿を消した。


同時刻、水の乙女と呼ばれた姫の姿も消えた。その姫がいた場所に、アカンサスバの豪奢なふちがらの紙が残されていた。


「コングラッチレイション ミイ」


書き置きには、アルファベットの筆記体、金色文字でそう記してあった。


マジシャンを名乗っていた姫の運命の男が魔法使いであることは、表沙汰今でも秘密だ。





ーおわりー

魔法の国の妖精の里【水玉模様のキノコの家】

おはよ~。

キノコの家の妖精です。


なかなか大ぶりなキノコ群住宅地にて。


屋根は水玉模様で、

そのひとつが、

水玉模様をくりぬいた円い窓。


窓を開けて、

光を浴びて朝の香りを吸い込む。


幸先よさそうだ。


朝ごはんに、ふかふかなパンと小人牛さんの新鮮なミルク、つんでおいた赤い莓のサラダを食べた。


役割は食料調達。


今日は小人牛さんに普段のお礼をするために、彼らの大好物、伝説の珍しい花、シュアザローナを探しに出た。


川のほとりに、シュアザローナを発見。


背中の羽根の具合を確かめて、羽ばたく。


ピンクと白のシュアザローナ、ピンクは小人牛さんたち好みで、白は妖精好み味。

担当に別れて、ピンクと白の両方を仲間たちと一緒につんで、集める。


棒アメをほおばって、休憩。


お届け物係りにピンクのシュアザローナを託したら夕方前、今日の仕事は案外と早めに終わり。


夕飯は妻が作ってくれた豆のスープ、白いシュアザローナの炒め物、シュアザローナの若いくきのおひたし、ふかふかなパン、シトラスゼリー。


少し雰囲気を味わいたくて、窓を開けて夜空にろうそくをかざす。


するとろうそくに光がともって、他のろうそくに移すと部屋がキラキラと綺麗。


ディナーを楽しみ、お腹がいっぱいになるとくちかずが少なくなってくる。


眠いからだ。


ろうそくの火を吹き消して、ベッドに横になる。


もうまぶたが重たいよ。



おやすみ~。



「おやすみ~」




ー☆ー