白魔女さつきの宴のレシピ

ファンタジックなものをおもに投稿したいと思っています。西洋風か和風のファンタジーどちらにしようか迷ったのですが、もしかしたら両方を投稿します。

猫が鳴く夜

千鳥足の女をひとり、

若衆が連れて来た。


事情を聴くと

この女

冷を十五本も空けておいて、

無銭らしい。


しかもこの事務所に、

借金があるのが分かった。


そうとう酔っているのか

何を聞こうにも

女はあやふやにしか答えない。


窓を開け、煙草を口にする。


宵闇に姿の見えぬ盛った猫の鳴き声。


女の乳辺りが

濡れてきている。


猫の鳴き声が、

どうにも赤子の泣き声に聞こえて

母性が働いたらしかった。



・・・数日後。


女はわずかばかりの金を

事務所に持って来た。


仕事を見つけたらしい。


赤子を抱いているが、

深々と礼をした。


若衆が扉を開け、

女が出ていくと閉める。


少しの間、その扉に目をやっていた。


溜め息を吐いて、

仕事に戻る。


何故か

呆れに似た笑いが

顔に出そうになったが、

若衆の手前、

それは止めておいた。




ー☆ー