2019年5月のブログ記事
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「そう言えば一人娘・・・」 きょとんとしていた女は 少し目を見開くと、 複雑そうに 顔を伏せた。 「そうです・・・」 「俺は呉服屋の後継ぎです」 「私も、実は家の後継ぎなのです」 ドン、と一番最後の 大きな花火が上がった音の余韻。 ふたりは線香花火の 橙色の火花を見つめている。 「... 続きをみる
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プロポーズをしたいから、その場に居合わせてくれと兄に言われたので、レアンをピクニックに誘った。 それはそれは冴えた青空に、涼しげに流れていく雲、風は肌に心地よく、レアンの手作りお弁当は心底美味しい。 そんな中、緊張しているのか兄はむっつりしてる気がする。 なんとかレアンに話しかけて時間をとっている... 続きをみる
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敷地内の庭にゴツゴツした白い岩田があって、そこに兄こと新米魔法使いのオフィリスアと幼馴染み美女レアンが、秘密基地だけど立派になってきたから見せてあげると、庭を案内された。 植物のツタが張る橋を渡り、目的地にあったのは、枝垂れ梅。 「すごーい、なにこれ?」 「「しだれうめ」」 兄が、君の生まれた日に... 続きをみる
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分厚い海老茶色の本を開いて、そこに水差しで綺麗な水をやる。すると本の花が咲いた。花はぶるぶるとふるえ、余分な水滴をあたりに散らした。 ほ~、とお弁当を届けに来ていた妹が、関心する。 魔法使いの新米である俺は、成功したかもしれない、とぼやく。 本の中から花をすくいつむと、水の花は弾けてしまった。 ん... 続きをみる
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魔法使いの兄がはなれに住んでから、妹である私は時々お弁当を届けに行く。 うららかな気候な里であるが、その場所は別段太陽の光のあたりかたが優しい気がする場所だ。 兄はほうっておくと、家の軒先にはえるキノコを虫メガネで観察して「食べれるかもしれない」と言い出すので、私がお弁当を届けることになる。 北陸... 続きをみる
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ウィーザードボード。 直訳すると魔法使いの板。 基本的に空中を飛ぶために使用されるものだが、みなそこまで割れて切り立った海がもとに戻る波に乗るのは、魔法使いと言えど珍しかろう。 その先は飛沫で白く見え、うねる青は濃淡を持って崩れていく。飲み込まれれば、そのまま海に食われてしまう。 そんな危険な場面... 続きをみる
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霊峰キャトフルから わずか採れる幻の宝石、 キャトフル・キャトエル。 その幻の宝石が 『可愛く美しい』という話を聞いて、 とある夫婦が、 生まれたばかりの自分の娘に、 キャトフル・キャトエルとゆう 名前をつけて 孤児院にあずけました。 金髪の赤子 キャトフル・キャトエルは、 やがて美少女に 成長し... 続きをみる
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魔法の森のとある場所に、 妖精がたどりつきました。 「黄色い丘だぁ~」 丘一面に、たんぽぽが咲いています。 食料調達係の妖精は、 たんぽぽを色んな方向から見たり、 匂いをかいだりしてみます。 「こりゃ、食べれるものだな」 葉っぱをサラダやおひたしに。 黄色い花は、洗って食用飾りに。 新しい味に、み... 続きをみる
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猫を拝む街ヴィヴィアンの、帽子屋。 そこに黒猫が一匹、 開いている玄関口から店へ通り抜けた。 対応したのは 店員の妖精。 黒猫が言った。 「注文の品を取りに来た」 「うかがってる、スよ~。 お金は先にもらっています~」 注文の品は、小さな三角帽子。 先が少しひしゃげていて、 つばの部分には切り込... 続きをみる
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大きなゴシック調の鳥かごの中に 亜天使が閉じ込められている。 背中の羽根もその年端もまだ 未熟な女の子だ。 怪盗花猫二世は、 狩りのついでに亜天使を助けた。 亜天使のほほにキスをして、 「もう大丈夫」 とほほえむと八重歯が見えた。 盗みに入った邸を出て少しして、 休憩に入る。 カフェ・ぐりにゃの ... 続きをみる
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キャトフル・キャトエルと言えば、職人ドワーフか怪盗花猫のことだと思いがちだと言われた。 一寸法師のような身丈くらいか。 それより少し大きいような気もするが。 『妖精小人』のキャトフル・キャトエルは、真空番龍と言って、透明なキューブに龍を刻む。 キューブの、中に、だ。 一説に妖精小人の針の先が赤く光... 続きをみる
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「なんだこりゃ?」 とある妖精が魔法の森でひろったのは 不思議なえだ。 あまりにも不思議な気がしたので、 妖精の里に持って帰りました。 そこにいたのは魔法使いで、 どうやら不思議なえだは、 魔法使いの落とし物。 返してくれたら お礼をする と 言われ、しぶしぶ渡します。 魔法使いの手元で、 えだは... 続きをみる
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鯉は空を駆ける龍に、恋をしました。 きっと想いを伝えるんだ、と。 シュッセという名前のその鯉は、 滝を昇りきりご褒美に龍になりました。 やがて結婚をしたシュッセの、 その努力のさまを、 絵師たちが描いているのだとさ。 その絵のことを、 シュッセゴイ、と呼ぶのだそうだ。 ー魔法の森の住人よりー
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闇の中、小人がひとり、舞い終った。 桜色の光の魔方陣が、 沸き立つように金色に変わった。 おもむろに目を開いた小人の背中、 そこには透明な羽根。 「妖精になれたんだ・・・」 妖精になった小人がそう言うと、 空中にただよっている 桜色と金色の光のつぶが輝いて消えた。 「綺麗・・・」 そうつぶやいた瞬... 続きをみる
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おはよ~。 キノコの家の妖精です。 なかなか大ぶりなキノコ群住宅地にて。 屋根は水玉模様で、 そのひとつが、 水玉模様をくりぬいた円い窓。 窓を開けて、 光を浴びて朝の香りを吸い込む。 幸先よさそうだ。 朝ごはんに、ふかふかなパンと小人牛さんの新鮮なミルク、つんでおいた赤い莓のサラダを食べた。 役... 続きをみる