白魔女さつきの宴のレシピ

ファンタジックなものをおもに投稿したいと思っています。西洋風か和風のファンタジーどちらにしようか迷ったのですが、もしかしたら両方を投稿します。

魔法使いの黒猫に頼まれた帽子

猫を拝む街ヴィヴィアンの、帽子屋。


そこに黒猫が一匹、

開いている玄関口から店へ通り抜けた。


対応したのは

店員の妖精。


黒猫が言った。


「注文の品を取りに来た」


「うかがってる、スよ~。

 お金は先にもらっています~」



注文の品は、小さな三角帽子。


先が少しひしゃげていて、

つばの部分には切り込みが入っている。


リボンと造花も飾られている。



「あなた宛にメッセージカードです」


「我は字が読めぬ。訳してくれ」


「【私の黒猫に帽子を贈る】」


「ほう!この素敵な帽子を?」


「そのようです」


「なるほど、こにくらしいな。

 どれ、その帽子かぶせてくれ」


「鏡、見ますか?」


「もう、帰る。

 家でたっぷり見るからさ。

 邪魔したなぁ~」


「またの、おいでやす~」



ご機嫌な黒猫は帽子をかぶったまま

店を出て、街並みに姿を消した。


店員をしている妖精は

休憩入ります、と声を透す。


そこに可憐な少女が現れ、

素敵な帽子をかぶった黒猫を見た、と

言った。


「私の猫用にもみつくろっては

 もらえないでしょうか」


店主が、はいよ、と言って椅子から立ち上がり、自分の腰をとんとん叩く。



「てんちょ、大丈夫かなぁ・・・」



エプロンを脱いでくぎにかけ、

妖精は休憩に入った。






ー☆ー

光の庭

夢見てた扉の前 深呼吸が溶けてゆく


愛をつむぐ語り部の光の庭


天上からふりそそぐ雨はこんじきで


気づいたら陽光になっていたんだよ


消えた闇を忘れて 虹の橋を歩いて


風に歌う花と踊る小鳥


湧き出る水に日が宿り


笑い声から生まれる精霊


四季と共に色づく言の葉


回る季節に 


眠りに落ちてゆく





ー魔法の森の住人ー

怪盗花猫~翼を持つ者~

大きなゴシック調の鳥かごの中に

亜天使が閉じ込められている。


背中の羽根もその年端もまだ

未熟な女の子だ。


怪盗花猫二世は、

狩りのついでに亜天使を助けた。


亜天使のほほにキスをして、


「もう大丈夫」


とほほえむと八重歯が見えた。


盗みに入った邸を出て少しして、

休憩に入る。


カフェ・ぐりにゃの

チャーシュー弁当と

わらびのめんつゆ漬けを食べて、

やっぱり美味しいなぁ、とか

独り言を言っている。


「お腹すいてるか?」


亜天使がかぶりをふると、

お腹がぐぅと鳴った。


「遠慮か。少し分けてあげるからお食べ」


チャーシュー弁当は

体質で拒絶したが、

めんつゆ漬けは少しずつ食べ出した

亜天使。


チャーシュー弁当に夢中な

その若者の肩をつつくと、

ん?とそちらをむいたので、

亜天使は唇にキスを贈った。


「いつか嫁にして?」


「こりゃ困った・・・」


孤児院でもある

フラワ・ウォーターの教会に

あずけられた亜天使は、

制御装置をつけて成長した。


聖女としての祭りの参加は、

ただ豪奢な椅子に

座っていればいいから、

とゆうものだった。


その会場に、

上半分の狐面をした男が現れる。


わいわいとしている中、

亜天使はその男を見つけた。


立ち上がり制御装置を外すと、

立派になった背中の羽根が広がる。


男の前まで飛び立つと、

男はバレたと言って笑って見せた。


八重歯が見える。


両手を広げた花猫二世に抱きつくと、

亜天使は唇にキスを贈った。


「いただき候」


そう言った男は、

のちに亜天使を嫁にして、

ふたりは生涯幸せに暮らしたそうだ。





ー☆ー



[ 名前紹介 ]


亜天使→美子:ビズ

花猫二世→螺子:ネジ