着物のブログ記事
第6話 闇桜と
縁日、当日。 にぎわいの雰囲気に、 並ぶちょうちんのとろり灯。 女は狛犬にもたれる。 「こちらか」 「きゃっ」 女が驚いて振り向くと、 渋茶色の着流しに山高帽を かぶっている男。 一見『達人』に見えるが、 金魚すくいの紙は一度でやぶれた。 女は一匹の、赤い金魚を得た。 水の張ったビニール袋に 打ち... 続きをみる
第4話 闇桜と
翌日。 緑色のカウボーイ・ハットに、 色を合わせた着流しに羽織りの男。 一度血のついたハンケチを返すのは 気が引ける。 知恵をしぼって小物屋。 レースの付いた白いハンケチを 手に取り、 端のほうに蝶の刺繍を見つける。 ちょうどその折り、 店に女学生たちが入って来た。 ふと、男が視線を向けると、 そ... 続きをみる
第3話 闇桜と
男は傷をハンケチで押さえ、名乗った。 「実家は呉服屋を営んでいます。 縁がありましたら、 どうぞご来店を」 聞くに、 女は近くの女学院に通っている、 十七歳らしい。 「ごきょうだいは?」 「一人娘ですの。 その帽子とか、お着物は・・・ 呉服屋の宣伝か何か?」 男はお気に入りの カウボーイ・... 続きをみる
第2話 闇桜と
頭に血がのぼり、 酔っぱらいの よこっつらを殴る。 酔っぱらいは、 おぼえていろ、と、 使い古された捨て台詞で去って行った。 「ありがとうございます」 袴を着ているどこかのお嬢さん、 その若い女は、 おじぎをした。 まともに顔を見ると、 凛とした顔立ちの美人だ。 「ああ、口元におケガをっ・・・」 ... 続きをみる
第1話 闇桜と
「やめてくださいっ」 そう声をあげたのは、 ひとりの若い女だった。 「いいじゃないかよぅ。 ケチケチすんなや」 にやついた酔っぱらいが、 その若い女の細い腕を掴んでいる。 「やれやれ。 道のおうらいで 何をやっているのやら・・・」 それを見つけたひとりの男が、 そのふたりに近づいて行った。 ... 続きをみる
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